暴君陛下の愛したメイドⅠ《修正版》
「サニー!」
「は、はい!」
大きな声で呼ぶと、サニーが急いで駆け寄ってきた。
「今から私が良いと言うまで、この部屋には入って来ないで。騎士と貴女を含めたメイド全員、部屋の外に出るよう伝えてちょうだい」
「……え?ですが…」
サニーの視線がリリアンに移る。
先ずはリリアンをお医者様へ見せた方が良いと思っているのだろう。
「サニー大丈夫。リリアンは助かるわ。だから私に任せてくれないかしら?」
例え力がバレようとも。使いすぎて倒れようとも。
私は絶対にリリアンを助ける。
だから、信じて待っていて。
全員が部屋の外へ出たのを確認すると、私は一度大きく深呼吸する。
「リリアン…直ぐに助けるから」
今にも息が止まりそうで、まさに一分一秒を争うような深刻な状況。
流石にここまでの重傷患者を治した事はないけど、不思議にも私は治せる気がした。
横たわるリリアンに手をかざすと、体全体に行き渡るように集中して力を送り込んでいく。
あぁ…結構損傷が激しいわね。
力の流れ具合からして、治すのにかなりの力と時間が掛かりそうだ。
だけど、関係ない。
治せさえ出来れば。
リリアンを包む緑色の光が徐々に大きくなっていく。
あと少し……。