暴君陛下の愛したメイドⅠ《修正版》
「サニー。終わったわ」
どのくらい掛かったのか。
無事に治す事が出来た私は、外に待機するサニーへ声をかけた。
「アニ様…!顔が真っ青です!!」
「私は…大丈夫。タンカを用意して、リリアンを休める場所へ移動させてあげて」
「かしこまりました!」
本当は立つのがやっとの状況で、今にでも力が抜け倒れてしまいそうだった。
リリアンは直ぐに運ばれて行き、その場には私付きとメイド達と数名の騎士だけとなった。
「…リリアンは女神様のご加護によって助かったのですね」
「えぇ。私も驚いたわ。祈りを捧げていたら、女神様が舞い降りてリリアンを癒やしてくれたから」
あくまでもリリアンが助かったのは、奇跡が起きたからと言う事にしておく。
サニーもそう思っているみたいだし。
「…アニ様がそう望まれているのであれば、その通りに致します」
「え?」
気になる言葉を残して、違う場所へ移動し始めたサニーの後を追おうとした時。
グラ…ッ。
急に力が抜け、体が大きくバランスを崩す。
あ…これは不味い。
倒れながらそう思った時、誰かが私を受け止めた。
「大丈夫か…っ!?」
「陛下…?何故、ここに…」
急いで駆け付けたのか、息が乱れている。
「この血は何だ」
「あ…これは…」
リリアンを治す時に、血がドレスに付着してしまったようだ。
「これは私のではございません。私を守ってくれたメイド…リリアンのものです」
「先程、運ばれて行ったメイドか」
目が覚めたらリリアンに聞きたい事が沢山ある。
だけどそれよりも、
「陛下……どうか私を罰して下さい」