暴君陛下の愛したメイドⅠ《修正版》
きっとリリアンを襲ったあのメイドは、皇族に対する反逆の罪と言う名目で処刑されるのだろう。
あの時、メイドが言っていたレティサ様が一体誰なのか分からないけど、これだけは言える。
私がここにいる限り、悲劇はまた起きる。
「何故、その様な事を言う?そして、その必要がどこにあると言うのだ」
「私では…役不足だったのです。陛下の隣にいる事がどういう意味なのか。私はよく考えるべきでした」
誰もが憧れる陛下の隣…妃という地位。
名門貴族ですら手に入れる事が出来ないそんな地位に、いきなり現れた女が就いたとなれば、当然良くは思われないだろう。
特に、身分を気にする貴族達からは。
「私は…妃になれる人間では無かった…」
例えそれが仮であったとしても。
陛下の隣にいるべき人間は、きっと血筋の良い貴族の令嬢なのだろう。
「罰を…与えるなら私にも…」
意識が遠のいていく。
私のせいでメイドが罪を犯してしまった。
私のせいでリリアンが怪我をしてしまった。
私のせいで………。
薄れゆく意識の中、最後に見たのは酷く慌てた陛下の姿だった。