暴君陛下の愛したメイドⅠ《修正版》
新たな妃?
サニーを治してから三日が過ぎた。
少しだけ力を使ったはずなのにあの日から疲労感が抜けず、頭痛もする。
けれど、顔に出せば周囲が気にするので、必死に堪えていつも通りを装う。
「悪いわね〜手伝ってもらって!」
「いえ、丁度手が空いてたから」
アイルさんに頼まれたのは荷物運びで、二人で荷物の入った重いダンボールを運んでいく。
「これが最後の荷物ね!」
ドスっと荷物を下ろすと、アイルさんは疲れたようにため息をついた。
重い上に数もあったので、運び終わるのに時間がかかってしまった。
もし一人でしていたのなら、これの倍はかかっていただろう。
「頑張ったし、休憩でもしましょう」
「そうだね」
そう言ってアイルさんと控室へ向かって歩いていた時、
「陛下は何がお好きなんですか?」
偶然鉢合わせたのは、豪華なドレスに身を包んだ綺麗な女性……と。
「陛下だ。相変わらず格好いいけど、威圧感が凄いのよね〜。隣にいる女性は誰なのかしら?」
陛下の姿があった。
女性は陛下の腕に手を絡め、体を密着させている。
「もしかして、新しいお妃候補だったりして」
「…え?」
新しいお妃候補……?
「お妃様が居なくなったら、再び大量の縁談が来ているらしいわ。他国のお姫様から帝国の大貴族のご令嬢まで。皆、妃になろうと必死みたいよ」
「そう…なんだ」
家柄の良い妃なら、反発する人など出てこないだろう。
学も気品も、全て持ち合わせた人こそ陛下の隣には相応しい。
これこそ私の望んでいた光景なのに……何故だろう。
見ていると胸が締め付けられて苦しくなる。