暴君陛下の愛したメイドⅠ《修正版》
もし私が貴族の娘とかなら、陛下の隣に居続けれたのかもしれない。
けど、そんな事は有り得ないから、側を離れるのが一番良い選択だと思った。
「だから何なのだ」
「……え?」
「歴史上、妃による争いは確かにあった。嫉妬に狂い犯罪に手を染めた者。妃同士による牽制。それこそ昔の城内は常に命を狙われるような場所だった」
陛下の顔が一瞬険しくなる。
「そなたは余の妃だ。例え平民であろうが、メイドだろうが関係ない」
「しかし…また犠牲が出たら……」
それが怖い。
自分が犠牲になるのならまだ良い。
けど、私のせいで他の人が犠牲になったらと思うと……。
「大丈夫だ。もう、そうはさせない。余はそなたに居て欲しい。これから先もずっと」
「……もし私に不思議な力があると言ってもですか?」
サニーにもリリアンにも。アイルさんにすら言えてない事。
人からかけ離れた力を持っていると知っても、陛下は同じ事を言うだろうか。
軽蔑する?それとも奴隷にして飼う?
「それがどんな力か分からないが、余は同じ言葉を言うだろう。例え他の人と違っていても、それは一つの個性であって、大事にするべきものだ」
個性……大事にするべきもの。
不思議にもその言葉が私の胸に響いた。
「私は…陛下の側に居ていいのですか…?」
メイドで平民で、不思議な力も持っているけれど……。
「あぁ。余の妃にもう一度なってくれるか?」
「はい…!」
この力は私の個性。
大切な人を守る為に、私は隠さずこの力を使っていきたい。