暴君陛下の愛したメイドⅠ《修正版》
ー………あの力。
何故か私にだけ使えて、まるで魔法のような力。
この目を引く黒髪とその力のせいで、私は何度か命を狙われかけた事がある。
幼い頃は『魔女』と、心無い言葉をかけられた事もあった。
この力は、他の人にはない不気味な力ー……。
だから、無闇に見せてはいけない。
「でも、気をつけなさいよ?あんな力持ってると知られたら、利用しようとする奴らも出て来るから」
「……うん。ありがとう」
私の髪が黒いのは、『呪い』のせい。
何百年に一度家系に黒髪の子供が誕生するのも。
その子供が不思議な力を持っているのも。
私は勝手に『呪い』だと呼んでいる。
「あ、お母さんが下でご飯だって言ってるよ」
「今日はアニ姉が帰って来たからごちそうかもなぁ~!」
グラントと同じ歳の頃から家族と離れてお城で働いているのも、全ては安全の為にした事。
お城の中だと、下手に手は出せないから。