暴君陛下の愛したメイドⅠ《修正版》
「あの女性をどうするつもりなんだ?妃にでもするのか?」
「………さぁ、どうだろうな。それよりも、こんな話をする為だけに来たわけではあるまい」
「つまらない奴だな…」
話をはぐらかされた宰相は面白くなさそうに唇を尖らせた。
「今日捕らえた人身売買の商人等は、地下で拷問をかけておりますのでご安心下さい。直に自白するでしょう」
「くれぐれも殺すなよ」
「当然です。情報を聞き出すまで殺すなんて失敗は致しません」
拷問に耐え切れず息を引き取る者も、そう少なくはない。
こいつの事だ。そんな失敗は不要か…。
「それと、明日はレディーナ様がお見えになる日ですが…」
「もうそんな日か」
レディーナ家。
各国で名を轟かせる有名商人であり、仕入れる品はどれも上等で珍しいと評判が良い。
一方、そうでない噂も飛び交う謎多き商人でもある。
確か東の王族と関わりのある商人と以前話していたか…。東国をこの手に治めるのであれば、関わっておくべき相手かもしれないが…。
「特にいるものもない」