暴君陛下の愛したメイドⅠ《修正版》
「そう仰られずに…。まだ見てもいないじゃないですか」
「そうは言えど、宝石など余には必要のないものだ。その上、我が国でも有名な商人は数多くいる」
「…では、あの女性に贈られてみてはいかがでしょうか?」
「アニか?」
「はい」
その言葉に、陛下は顎に手を当てた。
「……確かに良いだ」
「きっと、お喜びになる事でしょう」
あの女が喜ぶ顔も、そう悪くはなかった。
「客室を再度念入りに掃除をするよう指示しておけ」
「かしこまりました、陛下」
宰相は頭を下げ『ごゆっくりお休み下さい』と口にすると、執務室を出て行った。