暴君陛下の愛したメイドⅠ《修正版》


「側近部のメイドかい?助かるよ。それにしても、地面なんか見つめてどうしたんだい?」

「それが……このシミが中々落ちなくて苦戦しているんです」

「ふむ、どれどれ…」

私の言葉を聞いた男性が、興味深そうに覗き込む。

そして、

「…あぁ、これか」

まるでそのシミが何か知っているかのように、乾いた笑いを見せた。

「ご存知なんですか?」

「…あぁ。それを落とすのは大変だろう」

官僚と言えど、このシミが何か知っているのなら、もしかすると落とし方も知っているかもしれない。

そう考えた私は、官僚相手に聞いてみる事にした。

「何度もシミ抜きを試しているのですが、悪化する一方でして……。もし、何か良い方法をご存知でしたら教えて頂けないでしょうか?」

「そうだねぇ…。最初の方ならまだ水洗いなどで落ちやすいんだが、血痕というのは時間が経つと血液のたんぱく質が化学反応で硬化してしまい、どんどん落ちづらくなるようだ」

…血痕っ!!?

男性の口から出てきた物騒な言葉に、思わず心の中で叫ぶ。

そう言えば、アイルさんが“死人が出た”と言っていたけど……まさかこの部屋では無いわよね…?



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