暴君陛下の愛したメイドⅠ《修正版》
早朝に私の元を訪ねてくる人なんて…いたかしら?もしかして、先程見て頂いた皇宮医の方が戻って来たとか?
首を傾げていた時、ドアの向こうから聞き覚えのある低い声が聞こえ、思わず椅子から立ち上がる。
待って…この声って……!
「入るぞ」
サニー達も気が付いたみたいで、その人に向かって一斉に頭を下げる。
陛下だ。
何で…この方が朝からここへ?
戸惑いながらも、私も急いで軽く頭を下げる。
「おはようございます。陛下」
皇宮医から見て頂いた事を先ずはお礼すべきだったかしら…。陛下は私の事を気遣って下さったのよね…?
噂に聞いていた通り冷たい人かと思えば、優しく気遣って下さるような行動をされたり。
どう見ても皇宮医に見て頂けるような身分でもない私に、態々そんな事をされるなんて。
驚きと同時になんて言葉を伝えたら良いのか分からずにいた私の元に、陛下はゆっくりと近づいてきた。