【完】Dimples 幼馴染のキミと僕
カフェも勿論好きだった。だってカフェを作り出す仕事をしている身だから、趣味で色々なカフェ巡りをしていた。
けれど私がしたかった事は、まるで中高生がデートでクレープやアイスを制服姿で食べ歩きしている姿。学生時代、制服デートつーやつなんて勿論した事がなく、それどころか買い食いは禁止の学校だったから、それを律義に守っていた。
でも羨ましく思う事は多々あった。電車で通学をしていると、駅前で違う制服を着た同性代の男女が仲睦まじくクレープやアイスなんかを食べ合ってるのが。
女子高だったし、彼氏なんて出来た事がなかった。あれは自分とは違う世界の人間なのだ、と言い聞かせていたけれど、心のどこかで羨ましかったに違いないのだ。
「あれ!あれが食べたいわッ!」
指をさした先に、七色のソフトクリームが見えた。
「え。お腹壊しちゃうじゃん」
「うるさいな、私が食べるからいいの。私の言う通りにしなさいよ。願いを叶えてくれるって言ったのは潤の方じゃない」
七段ソフトは圧巻だ。
ひとりじゃあ絶対に食べないし、買おうとも思わない。
少しでも動くと今にも崩れ落ちそうな七色のソフトクリーム。味はまあまあ普通だったが、そのカラフルさに胸を躍らせる。
「うん。まぁまぁね。」
「買わせておいてまぁまぁって。まぁーそれって見た目を楽しむもんじゃん。味は期待しない方がいいちゅー奴じゃん」
「何よ。まぁまぁ美味しいっつってんのよ。ほら、潤も食べてみれば?甘い物好きでしょう」
そう言うと、コーンを握り締めた手を重ねて上からぺろりとソフトクリームを舐める。