【完】Dimples 幼馴染のキミと僕
「潤が隣にいるからでしょう。一応あんた芸能人みたいな活動してるからね」
「その芸能人みたいな活動してる男より目立ってるのは誰だよ?
確かに菫は女の割には身長も高い方だし、すらりとしてるのに程よく筋肉もあってスタイル良いよね。」
「毎日6時半に起きて筋トレをしているからかしら?」
「うわー真面目ー」
「あ、別にスタイル維持って訳ではないのよッ?!
健康の為にやっているだけだから」
「それは更に嫌味だな……」
宣言通り。潤は私の好きな所に好きなだけ付き合ってくれた。
街を歩いてみても、通り過ぎていく物ばかりだった。
いつだって行くお店は決まっていた。けれど行って見たいお店は沢山あった。
今時の若い子が好きそうな可愛らしい服が安く売っているお店。ネックレスやピアスが500円で買えるお店にも驚いたし、思っているよりも造りもチープではなかった。
何気ない会話ばかりだったけれど、気心の知れている潤とはいつまでだって話が出来た。
幼馴染って不思議だわ。疎遠になっていた時期が長くても、会ってしまえば昨日まで一緒にいたかのような錯覚に陥る。
私には気心の知れた男友達なんていないから、やっぱり潤はどこまで行っても特別だ。
けれど潤は違うだろう。断然友人が多くて人付き合いも上手い。どこに行っても誰からも好かれる。
だから私とこうやって共に時間を過ごしてくれるのも、ただ幼馴染であるからだ。そこに特別な感情はないだろう。面倒な女の家出に付き合ってくれるのも、ただ単に私が幼馴染だからだ。