【完】Dimples 幼馴染のキミと僕

「私も中学の家庭科の授業でエプロン作ったわ。
まぁ潤の学校は自分でデザインして作るんだろうけど」

「そうそう、菫って意外に裁縫も昔から得意だったよな~。料理も上手で裁縫も得意って女として最高じゃん!」

「別に私は…昔から習い事をしたりお母さんに教えて貰ったから出来るってだけよ。とびぬけて何かが出来る女ではないわ…。
それにあらかじめ決まった工程をこなすのだけは昔から得意だった。潤みたいにアイディアがあるわけじゃない」

「な~に馬鹿な事言ってるの~?仕事すげーじゃん。菫みたいな若い子が店を任されているんだから、それに俺菫の造る店好きだよ。
なんか幻想的で昔みたおとぎ話みたいで。女の子なら絶対ときめいちゃうもんね」

その言葉に、いつか大輝さんが打ち合わせの時言っていた言葉を思い出した。それを私は否定したけれど。

「大輝さんにも言われたわ。私はロマンチストなんですって。信じられないわ。こんなに現実主義者なのに」

「いや~…菫は結構ロマンチックでしょう。物を造る時は自分の理想を具現化しなきゃ出来ないって。そう考えれば菫はロマンチストなんだと思う」

「止めてよ。それより仕事かぁ…」

仕事の事を思い返したら、一気に現実に引き戻される感覚になった。

黙って家を出てきたはいいが、やはり現実主義者。もしも父が警察に捜索願いなんて出していたらたまったもんじゃない。

だからメールではあるけれど、連絡は一応しておいた。


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