【完】Dimples 幼馴染のキミと僕

父がもしも潤の夢を侮辱したり、私を無理やり連れ去ったなんて言葉のニュアンスを吐き出したのだとしたら…私はもう父の事を一生許せなくなりそうだ。

自分の中にここまで強い激情があるのは知らなかった。



私は自分の意志で選びここにいる事。

でもそれっていつまで潤にとって迷惑じゃないのかしら…?私はいつまでここにいていいの?

優しい潤の事だから無理に私を追い出す真似はしないだろう。けれどいつまでも一緒にいられないのは事実だ。

夢から覚める日は必ず来る。これはひと時の夢に過ぎない。夢が終わればまたいつもの生活に戻るだけ。大倉さんか誰かは分からない人と結婚して、前の私に戻るだけ。

だからこのひと時が出来るだけ長く続くように祈る事しか今は出来ない。

「そーいえば布団しかないんだけど大丈夫?」

「えぇ、布団でも平気よ」

「もしベッドが良いのなら俺の部屋で寝てもいいけど」

「え?!一緒に?!」

驚きの声を上げると、潤は頬をほんのり赤らめ呆れるようにため息を吐く。

「んな訳あるか。菫が俺の部屋に寝て、俺が布団で寝るつー話だよッ」

「あぁ驚いた。そりゃそうよね…。でも全然いいわ。布団も嫌いじゃないから」

「別に菫が良ければ一緒に寝てもいいんだけどね~。ほら小さい時は一緒によく寝てたじゃん~」

「バッカじゃないの?」


こんな会話さえ笑って出来るのは潤とだけだと思うから。

やっぱり幼馴染は特別な物なんだ。

これは決して色っぽい男女の会話ではない。

期間限定のただの恋人ごっこである。潤が私の為に用意してくれた’疑似恋愛’なのだ。



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