【完】Dimples 幼馴染のキミと僕
「ハンバーグがいいわ。チーズの乗ってる奴ね」
「はいはい。チーズハンバーグね。りょ~かい!」
やっぱり食の好みは同じようだ。子供が好きそうなメニューばかりを好む。やっぱり菫とは気が合う。これからも上手くやっていけそうだ。
「つーか会社行かなくっていいの?用意もしてないみたいだけど」
「今日はモデルの方の仕事が入ってる。だからゆっくりでも大丈夫。
丁度秋服のカタログを作っている所だ」
「へぇ……。それはそれは楽しそうね」
「菫も今度撮影来る?!S.A.Kのモデルになっちゃえば?!」
その言葉に菫は顔を歪ませて、すっげー嫌そうな顔をする。
「馬鹿ね。私がモデルなんて出来る訳ないでしょ。冗談が過ぎるわ。
じゃあ会社行ってくるわね」
それだけ言うと踵を返し、家を出ていく。
冗談半分。本気半分だったんだけどな…。昨日の様子を見て、大変身を遂げた菫は俺よりも断然モデル向きだと思う。
だって道行く人、皆菫を見て振り返っていた。一応モデルっていう仕事をしている身としては立場がない。それ程彼女は美しい女性なのだ。自分の価値が分かっていないだけの。
撮影現場には俺よりプロのメイクさんやスタイリストさんがいる。
その人たちの手に掛かれば菫はもっと輝く人なのではないか。俺よりも確かな技術とセンスを持っているプロ集団の集まりだ。そして何よりも彼女自身の素材がとても良い。