【完】Dimples 幼馴染のキミと僕
ゆっくりと午前中を過ごし、シャワーを浴びて準備をする。
…そういえば朝ごはんなんて久しぶりに食べた。お昼のお弁当もこれまた楽しみだ。菫の為に提案した同居だが、実際俺の方が楽しんでいたり…。
「えー?!潤くんお弁当じゃん。珍しいー!」
声を掛けてきたのはメイクを担当する奈々さんだった。仕事ではもう長い付き合いになる。
20代前半の小柄で明るい小動物に似ている女性だった。お弁当を覗き込んで、何故かニヤニヤとする。
「ふぇ~。綺麗なお弁当だねぇ~。栄養バランスのよく考えられているお弁当だわ~。
ねー飯田さん見てー。潤くんのお弁当~」
差し入れしたサンドイッチを頬張っているのはカメラマンの飯田さん。これまた長い付き合いでかなりの褒め上手。いつも撮影ではモデルの気分を良くさせる言葉をつらつらと連ねる陽気な30代前半の男性だ。
いつも頭はボサボサで髭も生やしっぱなしのような男だが、カメラの腕だけは信用出来る人だ。
「おお。彼女のお弁当か?」
「彼女なんていないっすよ~!」
「またまた~ッ。潤くんモテるくせにねー。飯田さんも少しは潤くんを見習ってシャンとした方がいいですよ。
もー髪もボサボサでさぁ~…それじゃあモテないですよッ」
「るせ。俺はこれでいいんだ。大体世の中は潤のような爽やか系が好きな女もいれば、俺のようなワイルドなタイプが好きだっていう女だって沢山いる。
大体奈々だって人の事言えないだろー。まぁこれもまた不思議な事でモデルのように綺麗な女が好きな男もいれば、お前のようなちんちくりんが好きな奇特な男も沢山いるから、安心しろ」
「もぉ~うっさいなぁ~飯田さんは。人をちんちくりんなんて失礼なんだよ」