【完】Dimples 幼馴染のキミと僕
ダイニングテーブルで向かい合って夕食をつつく。
一口ハンバーグを口にした菫は予想以上に感心した様子で「美味しい!」とほっぺたを抑えていた。
ご機嫌は良さそうだ。会社に行ってもしもおじちゃんに何かを言われたのだとしたら…と考えていたのだけど、それは取り越し苦労つー奴だったみたいだ。
「潤って料理も上手なのねッ。驚いたわ。私好みの味よ」
ご機嫌が良いのは何よりだ。ずっとその調子で笑っていて欲しい物だ。
何といっても今日のチーズハンバーグの出来はとても良い。帰って来てから時間を掛けてじっくりとひき肉をこねた甲斐があったものだ。
そして次の話を切り出した時も、そんな風に機嫌よく笑っていて欲しい物なのだが、どうやら現実はそうも上手くいかないらしい。
機嫌良さげにハンバーグに手を伸ばし、サラダも美味しいと言ってくれた。実家を出てからの寂しさというのもないらしい。それどころかどこか居心地が良さそうなのだから。
「ところでさ、S.A.Kから新しいラインの店がオープンするんだよね。」
「へぇ~そうなの~。すごいじゃない。潤のおじちゃんってぼんやりしてる所あるけど仕事となると人が変わるわよね」
「うん、まぁ…。ティーン向けというよりかは20代向けの働く男女の為って感じのブランドなんだけど
その撮影が来週から始まるんだよね」
「何それ。そのブランドも潤がモデルやるの?」
ハンバーグを口に運びながら、少しだけ興味ありげにこちらを向いた。
これはイける。と少しだけ思ったが、それはどうやら勘違いだったらしい。