【完】Dimples 幼馴染のキミと僕
「そう。俺もメンズのラインのモデルやるッ。
それでレディースの方なんだけど、契約してたモデルさんが突然出来ないって言い始めて…広報の人が困ってるみたいなんだよね。
でさーどうかな~って思って」
その言葉にはいまいちピンときていないらしい。
目を瞬かせながら的外れな事を言ってくる。
「契約してたのにいきなり出来ないって言いだすのは酷い話よね。違約金とか発生しないの?書面で契約をしているのならばそこはきちんとするべきじゃないの?
もう1回話した方が良いわ」
…いや、だから言いたいのはそういう事ではなくて。
俺もそのモデルさんとは何度か仕事を共にした事がある。
事務所の一押しって事で契約を結んできたんだけど、余り態度の良い子ではなくって。
社長のお気に入りだからちょっぴり天狗になっていて、スタッフにもぞんざいな態度を取る女の子だったから、これを機にS.A.Kと契約が切れて少しホッとしている。
だって仕事をしているのは人間同士だから、出来るのであれば和やかな雰囲気で過ごしたいじゃない。俺みたいにS.A.Kの社員としてモデルをしている人間と違って、その仕事1本でやっていくのは大変な事だとは思うけど。
「会社の広報担当の人に良い子がいないかなって言われて
菫はぴったりだと思うよ。顔も綺麗だし、スタイルだって本職のモデルさんに劣らない。
それでどうかなーって思ったんだ。勿論俺も自社のブランドの事はよく知ってるから、その上でこの話をしているんだけど」