【完】Dimples 幼馴染のキミと僕

それも菫にとっては全て余計なお世話になるのかとも思ったが。俺は少し押しつけがましい所があるのだろう。

お節介というか…自分が楽しめる事だからといって、それを誰かと共有したいと思うのは我儘だとも思う。




夕食を終えて電子ピアノに手を掛けると、菫は嬉しそうにこちらに笑いかけた。

部屋からフルートの入っているケースを持ってきて、細い手でそれを持つ。

やっぱり音楽はすごいよな。使い勝手が少々悪いデザイナーズマンションであっても、防音であったのをこれほど感謝した事はない。

思って見ればひとり暮らしを始めてから電子ピアノを買ってみたはいいものの、ひとりでは演奏する気も起きなくてインテリアと化していた。



実家にあるアコースティックピアノと電子ピアノでは音も重みというか、深みはやはり違う。音の豊かさも全然違うと思う。機械的というか何と言うか。

鍵盤の重みも全然違うし、響き方も全く違う。けれど電子ピアノもピアノでまた違った良い所はある。オルガンからグランドピアノまで様々な音が出せたりする。

「何、弾く?」

「ん~…じゃあBeauty and Beast
どう?」

「いいね。大好きだ」

音楽の趣味が合うのは幼い頃に一緒に演奏したせいもあるだろう。

それは幼き頃見ていたアニメの物が多い。

特に菫は幻想的で美しい音の曲を好む。そのくらいは幼馴染だから分かる。





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