【完】Dimples 幼馴染のキミと僕
「俊哉。本当に久しぶり。あッ潤からもう少しでお子さんが産まれるって聞いたわ。びっくりよね、あの俊哉がお父さんなんて」
「まぁね~。今日は嫁さんも来たいって言ってたんだけど、なんせ身重なもんでね。
つーか菫久々に会ったけど相変わらず綺麗だなー」
「もう俊哉は口が巧いんだから」
「ほんとほんと。それに今日は久しぶりに菫に会えるつーから撮影現場まで来たんだ。」
「そうなの?!わざわざ?!?」
「そうそう。だって販売部だからね。こういった撮影は来ないよ。潤の撮影現場だって見た事ないんだから。
だから今日は無給でわざわざ来たって訳。でも菫に会えて嬉しいわーッ。俺たち5年くらい会ってなかったような気がするよ。いやーそれにしても潤から話を聞いていたとはいえ、菫変わらず綺麗で本当にびっくりしたー」
ニコニコと笑う俊哉も全く変わらない。
そう思えば潤の周りにいた男子は皆気の優しい人が多かった。
小さな頃からひねくれ者で、人より少しばかり気難しい私とも仲良くしてくれる人ばかりだった。類は友を呼ぶとはこの事なのね。
だから小学校の頃は男子とばかり遊んでいて、女子たちからはちょっと浮いてしまっていた。けれどあの頃でさえ潤がいてくれるから何も怖くは無かった。
久しぶりの俊哉との再会は、緊張しっぱなしだった私の気持ちをほんの少しだけ柔らかくしてくれた。
きょろきょろと辺りを見回すと、潤は人が集まる中心にいてそこで大声で笑っていた。…どこにいても中心になってしまうのは昔から変わらない。
こそりと俊哉が私へ耳打ちをする。