【完】Dimples 幼馴染のキミと僕
7.菫■不器用な告白■
7.菫■不器用な告白■
父が気に入っている人間に嫌われるのを怖いと感じていた。
だから大倉さんの前でも大人しくしていたし、自分を出さないでいた。でも潤と日々を過ごすうちに私はもう自分を偽らないで良いと気づいた。相手が気に入るような服装を選び、メイクをして、ニコニコと笑っていなくても良いんだと思えた。
今回大倉さんと会うのは最後にしようと決めていた。それならばめいっぱい自分勝手に振舞って、大いに嫌われようと思った。潤の作ったカラフルな洋服を着て、派手なメイクをして、いつもは前髪で隠してる顔も上げた。
それが逆効果だったか否かは分からない。大変身した私を、大倉さんは何故か気に入ってくれた。
「その洋服すっごく似合っている」
「メイクも髪型も菫さんによく似合っている」
そう言って褒めてくれた。嘘だとは思えなかった。その言葉を口にした彼は今まで見た事がないくらい活き活きしていたような気がしたから。
けれど私は彼とはもう会わないつもりだったから、あなたの事は全然好きになれそうにない、とはっきりと告げた。そうしたら何故か大笑いされた。そして「はっきりと物事をいう子は好きだ」と付け加えられて。
趣味も合わないと思うし、一緒にいても全然楽しくない。あなたの連れて行ってくれるレストランは定番すぎてつまらない、とまで言ったのに…。何故か大倉さんは嬉しそうにした。
何?この人ってドMだったわけ?と思ったのだけど。
「何にも知らない世間知らずのお嬢さんとばかり思っていた」
けれど想像した子とは全然違った、と。
どこまでも彼に嫌われるように自分を曝け出したつもりだったけれど、どうやら逆効果だったらしい。