【完】Dimples 幼馴染のキミと僕
「そうね。確かにお店を造るのは楽しいわ…。父が目指すような日本文化を色濃く残したお店作りの美徳はまだ分からないけど…。
私って考えてみれば可愛い物がきっと好きなのよ。それに人に言われるようにロマンチストな人間なのかもしれないわ…。自分がそういう人間だっていうのは妄想癖の激しい気持ち悪い女だと思っていたけど…
可愛い物、キラキラとした物、女の子らしい物が潜在的に考えれば好きなのよ。
はぁ~……自分がもっと可愛げのある女だったらいいのに…」
そう言って大きなため息を吐いて頭を抱える。
そんな小さな事に悩んでしまっている菫は、俺にとって充分女の子らしくて可愛げのある女に違いはないんだけどな。
雑誌をパラパラと捲っていると、その中からひらりと1枚の紙切れが落ちた。それを拾った菫は明らかに顔色が変わった。
慌てて椅子から立ち上がり菫の横に行くと、彼女の手の中には1枚の写真。
…これは非常に気まずい。その写真は専門学校時代の元カノとツーショットで写る写真である。
そうそうこの子は可愛かったんだよなぁ。長い髪が綺麗で目が大きくて、人懐っこい可愛らしい性格をしていた。って!そーじゃなくって!馬鹿だ俺、何故元カノの写真を処分していない…。
雑誌の間に挟めてそれはそも大事にしているようではないか……。
言い訳をしようとしたら菫がじろりとこちらを睨みつけて、その写真を雑誌の間にスッと戻した。
「可愛い子ね…」
「それは処分し忘れたっていうか…。そこにあった事さえ忘れていた!だから未練があるとか云々ではないからな?!」
焦る俺に対し、菫は酷く冷静で再びベッドへと腰を下ろす。