【完】Dimples 幼馴染のキミと僕

「だって私キスだってさっきのが初めてなのよッ?!それって少し重くないッ…?」

すると菫が自らカミングアウトしてきた。
俺にとっては重くなんか全然ない。寧ろ嬉しいんだが。

「全然」

「私は何か嫌ッ。潤に負けているような気がしてッ!」

「それって勝ち負け?」

「潤は色々な女の子を知っているのに私は誰も知らないなんて何か嫌…。
あの写真のような可愛らしい子と付き合っているのも嫌だったし、悲しい気持ちになったわ…」

そう言って視線を落とし拗ねている菫は、何よりも可愛らしかった。

もしかしてもしかしてと思うけれど、やきもちを妬かれているのではないか?そっとベッドの隣に行って、再びキスをする。すると菫は顔を真っ赤にして下を向いた。

あぁ…そんな顔をしないでくれ。このまま押し倒したくなる。俺の中で君はあくまでも’聖域’であったのだ。幼い頃からずっと一緒にいた特別な存在。それを他の女性にするような事と同じ事をして果たして良かったのだろうか。

どこまでも続いていくような透明を穢してしまいそうで……。


見つめ合うと大きな瞳の中に俺が写っている。頬に手を掛けた瞬間、だった。

ポケットに入れておいた携帯が空気を読まずにメッセージを受信した。

すると菫は反対方向へふいっと向いてしまった。


…誰だよ。空気を読まずにこんな夜に。と携帯を開くと、メッセージはとーちゃんからだった。

『潤    ^^) _ かーちゃんは元気  みたいだよ。
手術も  する必要は ないみたいだ!(^^)!
経過観察 という形だ そうだよ。   良かった良かった。』

何で親父たち世代ってメールを作成する時妙な空白を開けるのだろう。 そして謎の顔文字…。


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