【完】Dimples 幼馴染のキミと僕
振り返っておもむろに目を輝かせる。
「いいよ。どんな猫でも買ってあげる」
「それは楽しみだわ。運命の子に会えるといいけど。
今週1回実家に帰るつもりだから、その後にしてね」
「実家か……」
おじちゃんなんていうだろう。
まさか俺と暮らしているなんて夢にも思わないだろう。何だかんだ言ってそんな話を聞いてしまったらぶっ倒れてしまうのではないだろうか。
「俺も一緒に行こうか?だってこれから…付き合うって事になるんだろーし、昔からの知り合いつったってけじめは大切だと思う…」
その言葉に菫は頬を僅かに赤らめる。そして首を横に大きく振った。
「それはまだいいわ。取り合えず私だけ帰って、事の経緯の説明をしようと思う。
お父さんの事だから頭に血がのぼって何を言い出すか分かったもんじゃない」
だからこそ心配なんだけど。おじちゃんの事だ。大反対するに決まっている。何となくだけどおじちゃんは自由に生きている俺が気に食わないだろう。
親の会社も継ごうとせずに自分の夢ばかり追いかけて自由に生きている。メディア関係の仕事なんかもしてちゃらちゃらしていると思われている。ろくに俺がどんな仕事をしているか知りもしないで。
しかし頭は固いが娘を思っている気持ちは本物なのだ。’俺’だからこそ気に食わない事もある。
朝食を済ませ菫が会社に行くのを見送って、ゆっくりと準備を始める。