【完】Dimples 幼馴染のキミと僕

「もー…頭かてーなぁー…。
大体ヤケになってるのはどちらかと言えば潤くんじゃんッ。
潤くんにねーちゃんは勿体ないって。あの人は男から見てもかっこいいんだから。
俺なんて才能がないから篠崎リゾートを継ぐぐらいしか能がないけど、潤くんはS.A.Kの一人息子って肩書がありながら、自分の夢を自分で叶えようって頑張っている人だよ?
しかもばーちゃんは佐久間文江さんだよ?!どんだけサラブレッドだよって感じの人だよ。篠崎リゾートの娘なんかとは到底釣り合ってないのは潤くん自身じゃんか。その潤くんがねーちゃんで良いって言ってくれてるんだからそれ以上の事はないでしょー?」

大地の言葉に、父がキッと睨む。

いつだって自分の感情を表に表せずに温厚で上品な人だった。

その父が激怒している。大体に声を荒げたりする人でもないんだ。会社でだって。

「そういう問題ではない。
潤くんはただの道楽息子だ。大体にしてS.A.Kという会社の息子という恵まれた環境で生まれたにも関わらずに、ただの子供の我儘だ。
夢を追いたいなんて…。会社を立ち上げて経営していくのがどれ程難しいか分かっちゃいないんだ。甘いんだよ。
それに何だ?嫁入り前の娘をそそのかして無理やり自分の家に連れ込むなど…。失礼にもほどがある」

「ちょっと…お父さん潤を悪く言うのは止めてよ…。
それに無理やり潤が私をそそのかしたなんて人聞きが悪い。
私が望んで潤の家に行ったの!!こりごりだったわ…!私、お父さんの言う通りにはもう生きない!」

「何を?!菫は潤くんに洗脳されているのだッ!目を覚ませ!
今までお父さんが言ってきた事で間違いがあったか?!全て正しかったはずだ」



< 173 / 321 >

この作品をシェア

pagetop