【完】Dimples 幼馴染のキミと僕
怒りだした父を止められる術はもうなさそうだ。
ここまで頭が固いとは。
しかし大地の言う通りなのだ。
父の代からの篠崎リゾートよりも、潤の父親の会社のS.A.Kのが大きいのは間違いないし、祖母が佐久間文江だという事はファッション業界でサラブレットなのには違いない。
私という人間が潤の両親からの結婚の反対があったとしても、逆というのは立場がない。私なんかよりも潤の方がお坊ちゃまであるのは間違いないのだから。そして資産だってうちよりも潤の家の方が断然多い。
どうしてそこまで潤自身を毛嫌いするのだろうか。いや毛嫌いしているのは潤ではなく、潤の生き方のようにも思える。
「私は潤に洗脳されていません。洗脳されているのだとすればそれは今まであなたにされてきたのであっただけよ」
きっぱりと言い切ると、父が立ち上がり乱暴に両手をテーブルに置いた。
バンッと大きな音が響き、テーブルに乗っているティーカップが大きく揺れる。
今まで黙って話を聞いていた母もビックリして父を見上げ、大地は呆れかえったようにため息をついた。
「お前は篠崎リゾートの一人娘だ!」
「けれでも私には自分の人生があるわ!」
「何が不満だというのだ!今までお前を何不自由なく育ててきたッ!
結婚前に見知らぬ男の家で暮らすようなふしだらな女に育てたつもりはないッ!」
「見知らぬ男じゃないじゃない!ずっと25年間一緒だった幼馴染よッ?!
それに私は潤が好きなの。だからお父さんの言う通りの人と結婚するつもりはもうないわ!この家に戻るつもりもありませんから!
大体おかしいわ…。何故私が好きでもない男と結婚しなきゃいけないの?いいえそれだけじゃない。私は中学だって学区内の公立に進みたかった!」