【完】Dimples 幼馴染のキミと僕
「何も?!」
「えぇ、何にも」
驚きの声を上げる大地を尻目に、真っ直ぐと前を見つめていた。
何もない事は…ないか。キスはした。しかもあれはファーストキスだった。今でも思い出しただけで顔から火が出そうだ。
この私が他人とあんな行為をするなんて…。
大地が呆れ顔で頭を抱える。
「一緒に暮らしてるのに何もないなんてそれはそれで潤くんが可哀想だけど…。」
「何をするって言うの?」
「何をって…そりゃー普通の年頃の男女がする事と言えばひとつしかないでしょ?」
正に大地が言いたい事はそのまんまだ。
私だって一応大人だ。大地の言いたい事なら大体分かる。
そういう経験がなくったって知識だって一応ある。だけど潤とは今までただの幼馴染だったのだ。いきなりそんな関係になるというのはどこかむず痒い。
キスをした事さえ私にとってはぶっ倒れそうなくらい照れくさかった。だからまさかその…裸になってあれやこれやなんて想像は出来ない。それは潤も同じではないか?
昨日だって一緒に寝たのに、潤は私の体にひとつも触れやしなかった。
「でも潤はそういう事考えていないと思うわ」
「はぁー。もうねーちゃんは鈍感なんだからぁ…。そりゃー男と付き合った事ないから男の考える事なんて分からないと思うけど…
潤くんに我慢ばっかりさせちゃったらそのうちこうスタイルの良い美人さんが現れてね、取られちゃうよ?!
ねーちゃんが思ってるより潤くんはモテるしかっこいいんだから~」
「そうなの?!」