【完】Dimples 幼馴染のキミと僕

睡眠も大切なのよ、とブツブツ言っていたのだけど、了承はしてくれたらしい。

眠れない夜は暫く続きそうだったが、君が隣で眠ってくれるのは有難い。実家に帰ると言った時はもう二度と戻って来ないかとも思った。

おじちゃんに説得されて、それが正しかったと気持ちが変わってしまうのではなかとも思ったから。

翌日出かける前に菫は俺へヘアセットとメイクをねだった。何でも人にメイクされたりヘアセットをしてもらうのが好きになったそうだ。…それはとてもモデル向きだ。

菫いわく自分でしても上手に出来ないらしい。俺も俺で人にメイクをしたりするのは嫌いじゃない。それが菫であるのならば大歓迎ではある。

俺の作ったワンピースを着て、ふたりでショッピングモールに入っているペットショップへ向かう。菫と隣合って歩くと人の目を惹く。

それは俺がメディアに顔出ししているのが原因ではないと思う。たまーに街を歩いているとコソコソと噂話をされたり、写真を撮って欲しいと声を掛けられたりもするがふたりで歩いている時は大抵の視線は菫に注がれている気がする。

自分をよく分かっていないというのも菫の良い所のひとつではあると思うのだが……。



祝日のショッピングモールは恋人や家族連れで賑わいを見せていた。

はぐれないように、と手を繋いで歩いたら恥ずかしいわと最初は拒否したが、それには徐々に慣れたらしい。

俺の手を引っ張って走り出す始末だ。それにしても暑い。今年の夏はやけに暑い気がする。

それにしても菫は明るい色の洋服が良く似合う。ショート丈のワンピースからすらりと伸びる足も毎日の筋トレのお陰が程よく筋肉がついていていい。

こりゃー人が振り返りたくなる気持ちも分かる。世界中に自慢したいくらいだ。



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