【完】Dimples 幼馴染のキミと僕
ペットショップにもうんざりするぐらいの客がいた。
大きなショッピングモールの中に入っているペットショップは規模もデカい。ガラスケースの中犬や猫が愛想を振りまいたり、はたまたそっぽを向いて寝ている子もいた。
ガラスケースの前には必ず張り紙が貼ってあって、そこにはどんな種類か性別は何か生まれは……そしていやらしく値段が記載されていた。
愛らしい動物たちだ。皆が声を揃えて「可愛い可愛い」と言う。けれど何となく可哀想だなと思う。
ここはまるで牢獄だ。
人間の見世物小屋でもあるか。
ガラスケースの中に商品として並べられて、値段という価値がつけられる。
ここで買われて愛されて生きて行くのならばまだ良い。けれど、もしも売れ残ってしまったらどうなってしまうのだろう。そんな悲しい猫の行く末なんて興味はなかったが。
菫は俺の手を引いて一通り店内を一周したが、何故か浮かない顔をしてペットショップを後にしてしまった。
「気に入った猫はいなかった?」
こちらを振り返った菫は困った顔をして少しだけ微笑みながら首を横に振る。
「何だか悲しい気分になっちゃって…」
「悲しい気分?」
視線を下に落とし、握っていた手をぎゅっと強く締め付ける。
「飼うって言っても命なのよね…。
お金を出せば良いってもんじゃないわ。
それにガラスケースの中にいる動物たちを見ていたら胸がぎゅっと締め付けられる気分になった…。
自由はどこにもなくって狭い室内で人に見られながら暮らして、値段をつけられてそれが自分の価値になるなんて可哀想だわ」