【完】Dimples 幼馴染のキミと僕

「そっか菫は優しい奴だ。大丈夫だ。そんな急いで探さなくたっていい。いつか西城さんのような運命の子に出会えるかもしれないさ。
もしかしたらそれが犬かハムスターかは分からないけどね」

そうね、と菫はやっといつもの笑顔で笑ってくれた。何故か安心した。

そう慌てて探したって良い事なんてない。大体にしてペットショップって考えがお坊ちゃんなのだろう。西城さんは同じお坊ちゃまでも野良猫を保護するなんて優しい人だ。…ぜんっぜん優しそうなタイプには見えなかったけれど。

俺たちの前にも運命の子がいずれ現れるだろう。

その日はショッピングモールで買い物をして、帰宅した。



途中で寄った生地屋で素晴らしいレースを見つけたもんだから菫を待たせてしまったが、彼女は文句のひとつも言わずに隣で感心したようにそれを眺めていた。

「当たり前だけど洋服って生地選びから始まるのよね…」と呟いて。

そうだな当たり前だが生地から、人の着る物へと姿を変えるって冷静に考えると凄いな。それを考えた人も凄いし造り出した人も凄い。



菫を寝かせてからこっそりと別の部屋でウェディングドレス造りを始める。

カーテンを開けると真ん丸の月が顔を出していた。

裁断しておいた生地をしつけ糸を使い手縫いで縫っていく。

そのひとつひとつの工程が愛しい。洋服を造る時はいつだってその洋服を愛してきたけれど、菫へ作るウェディングドレスは更に特別だ


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