【完】Dimples 幼馴染のキミと僕

シルクの布を大きく拡げると、それは月明かりに照らされてとても美しい純白だ。

そう、菫はとても両親想いの子。だからこそこのままではいけないだろう。菫はお父さんなんてもう知らないと言っていたけれど、そんな訳にはいかない。

俺だって小さい頃からおじちゃんの事は知っている。とても真面目な人だ。美しい日本の文化を愛し、彼の手掛けるお店には愛がある。そしてそんな人が家族を愛していない訳がない。

それに娘を会社の道具に思うような人だとは到底思えない。幼い頃からとても優しい人だった。きちんと誠意を持って話せば理解ってくれるだろう。

小さい時は俺の事も褒めてくれたんだ。


’潤くんは本当にピアノが上手だねー’

’潤くん、学級委員長になったんだって?すごいなぁー’

’リレーの選手なんてすごいじゃないかぁ。潤くんは勉強もスポーツも何でも出来るんだなぁ~’


おじちゃんが俺をよく思わなくなったのは、中学校に上がってからだ。

佐久間家と篠崎家は昔から交流があった。一緒に出掛けたり、旅行に行ったり、それも俺たち子供が段々と大きくなっていくうちに徐々になくなっていった。

中学に上がる前、父と仲の良かったおじちゃんが言った言葉がある。

’潤くんは中学受験をしないのか?’と。


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