【完】Dimples 幼馴染のキミと僕
「じゃあ私西城さんとボヌールの方で打ち合わせがあるから、このまま西城グループの会社に向かうわ」
「了解ですッ。私お客様アンケートのまとめしておきますね」
「よろしくね」
お店から出ると夏のジメッとした空気が肌に張り付く。
着ているシャツも汗ばんでいて中々不快だったけれど、そんな街を歩くのも悪い気がしない。
その理由は潤から自由に着て良いって言われたS.A.Kのシンプルなシャツの形が美しかったのと、シンプルに見えて細かい所に遊び心があって可愛らしい事。
黒のパンツもハイウェストの部分が少しだけひらひらになっていて、可愛い。
着ている物ひとつでこんなに気分が変わるなんて、今まで経験した事がなかった。
前髪を出した方が似合うと言われたので出すようにしたら、視界はパッと広がったりし、潤にアドバイスをしてもらってから良い事ばかりが起こる。
夏が鬱陶しくないと感じたのは久しぶりの感覚だった。
身に着けている物、いつもと違う髪型とメイク。それだけで毎日歩いていた世界はまるで違う世界の様に変わる。
「菫さん、何か変わりましたね」
久しぶりに会った大輝さんは私を見るなりそう言った。
相変わらずクールで涼し気な目元が印象的な人だ。潤と付き合っていようが、タイプはタイプ。いつ見ても目の保養になる人だ。
「あらそうですか?」
「全体的な雰囲気といいますか……。菫さんは元々華やかな人でしたけど、メイク変えました?
着ている洋服も可愛らしいですね」