【完】Dimples 幼馴染のキミと僕
「どちらかといえば掃除も料理も僕の方が上手です」
「そうなの?!意外だわ。本当に人って見た目では分からない事ばかりなのねぇ」
「えぇ、僕が美麗と菫さんが似ているなぁと思ったのは持っている雰囲気とか
芯が強そうな所とか」
「あらそれだったら私と美麗さんはやっぱり似ていませんわ。
私ってこう見えて芯は全然強くないんですもの。実は自分の意思なんて全くないんです。人に従って生きてきたから…
だからそう見えるのであれば大輝さんの誤解です。それでも最近は…少しだけ自分の意志で生きて行く事が出来ているかもしれないけど」
その言葉に大輝さんは口元にフッと笑みを浮かべる。
「それは佐久間さんのお陰でしょうか?」
「さぁ、それはどうですかね」
含みを持たす言い方をすると、大輝さんはまた笑った。
レジャーホテル内に新しくオープンさせたボヌールの2号店の売り上げは上々だった。
隣に大きな遊園地があるレジャースポットである程度の集客は見込めていたが、ホテルに戻ってきた後もお伽話のようなロマンチックな気分が続く造りだと、とても評判が良いらしい。
建設する時店内の造りにも拘ってきた甲斐があった。
これはもしかしたら潤がしている服造りとも通ずるものがあるのかしら?訪れた人が幸せな気持ちになって、いつまでも思い出に残るお店になればいい。
私の理想ばかりを詰め込んだお店だとばかり思っていたけれど、最近は何故か訪れる人がどんな気持ちになるか、顔も見た事のない誰かの幸せを願ってお店造りが出来ているような気がする。
それを思ったら、何故か父を思い出した。
日本の美しさを再確認して欲しい。そう思い日本文化を取り入れた和食のお店に拘ってきた人だ。