【完】Dimples 幼馴染のキミと僕
父を思って、頭をぶんぶんと振って忘れようと再び前を向いた。あんな分からず屋の頭の固い父の事など…。
いざとなれば篠崎家から除名をしても構わない。そう本気で思っていた。
父と喧嘩をしてから今の所オフィスに彼は来ていない。
元々会社には余り来ない人であったし、わざわざ私の働いている部署に来る人ではなかった。それには安心していた。
いくら同じ会社で働いていると言っても社内で親子喧嘩なんて発生してしまったら、もう恥ずかしくて出社出来ないだろう。
まぁ体裁ばかり気にしているあの人が、わざわざ社内で問題行動を起こすとは思えないんだけど。だからというか父の表の顔しか知らない社内の人間にはすこぶる評判の良い社長だ。
「菫さんアンケートまとめておきました。」
「ありがとう。あら分かりやすくまとめてくれたのね」
「私早く仕事出来るようになりたいんですもん~。将来は菫さんみたいにバリバリ仕事するんです~ッ。
せっかく憧れの篠崎リゾートに就職出来たんだから」
「それはとても心強いわ」
先に会社に帰っていた三井さんにアンケートを渡された。それはよくまとめられている。
やる気のある新入社員とは心強い物だ。
「三井さんは何で篠崎リゾートに入ったの?」
すると彼女は瞳を輝かせながら前のめりになって話始めた。