【完】Dimples 幼馴染のキミと僕
俺の他に菫の良い所を理解してくれる人がいるのは嬉しい。
誤解されがちだが本当に良い子なんだ。
撮影を終えてから取材が入った。
取材は何回か受けた事があるが、自分の事を語るのは何故かいつでもこっぱずかしい。
「佐久間さんはS.A.Kの社員でありながらモデルをこなしてるんですよね。
佐久間さん程の容姿なら芸能事務所とかからもスカウト来ちゃうんじゃないですかー?」
「ああ。まぁ…。でも俺芸能界ってのは興味なくって」
「じゃあやっぱりお父様の会社を継ぐって形なんですか?大きな会社ですものね」
「う~ん…それも今の所考えていません。大きな会社つっても家族経営の会社ではないので…。
父が狭い間柄で会社を経営していくとそのうち会社は縮小していくっていう考えの人でして
妹もいますが、S.A.K自体はどうなるかまだ分からないんですよ」
「佐久間さんもあまり会社を継ぐのには興味がない?」
「ん~……俺は自分の夢があるから。自分は自分の作った会社でデザイナーとして働きたいんです」
「それはやっぱりおばあさまである佐久間文江さんの影響が大きいんでしょうか?」
「そうですね。ばーちゃんの影響は大きいかも。なんせ自由な人なもんで」
「けれどやっぱり洋服関係の仕事に就きたいんですね。それはやっぱり育ってきた環境のせいなんでしょうか?」
「幼い頃から服に関わって生きてきましたからね。
初めて人に洋服を作ったのも小さな時なんですよ。その時、受け取ってくれた相手は子供ながらにすごく嬉しそうな顔をしてくれて……
それが俺にとってはすごーく嬉しくって……」