【完】Dimples 幼馴染のキミと僕
「何でお前ばかりモテるんだよぉ~……」
少しだけ涙目になっててそれがウケた。
「はいはい。モデルの合コンセッティングしておきますから~、俺は参加しませんけどね~」
「お前がいなきゃー女がつれないだろーが!」
「とは言っても俺は彼女一筋なんで合コンに参加するつもりはありませんッ」
ギャーギャー騒ぎまくって社内を動き回る吉澤さんに、社員は皆呆れ顔。
俊哉に至っては完璧に無視をかましている。
ディスクの椅子をくるりと回しながら、再びカタログに目を落とす。ニヤニヤが止まらない。今になって見れば恋人同士のラブラブの写真集みたいだ。
大画面に映るのも楽しみだ。日本中に俺たちの関係をアピールしているみたいで少しだけ照れくさい。
カタログを見ていると、ディスクの上に置いてあった携帯が鳴った。
『今日は佐波とご飯を食べて来るので少しだけ遅くなるわ。ご飯大丈夫?』
可愛らしい。そんなちょっとしたラインにもときめいてしまうなんて俺は重症かもしれない。
’ご飯大丈夫?’だって。気にしてくれている。本当に可愛い。
佐波さんとは菫の学生時代の友達で、主に舞台女優をしている。会った事はないが中々に有名な人で、綺麗な人だった。
菫いわくさっぱりとしていて自由なタイプの人間で、捻くれている自分とも仲良くしてくれるから付き合いやすいらしい。何はともあれ菫が友達と楽しそうに出かける機会なんて余りないから嬉しい。
それに今日は丁度実家に出向こうと思っていた。かーちゃんはとっくに退院して、元気に仕事も復帰した。