【完】Dimples 幼馴染のキミと僕

「私は母親として菫には傷ついて欲しくないわ。勿論あなたが菫へ安全な道ばかり用意していたのもよく分かっています。
それは悪い事ではないかもしれない。紛れもなくあなたの菫への愛情です。
それに菫は今まで私達の期待に十分応えてくれました。それならばこれから菫が歩く道は菫の自由に選んでもいいんじゃないかしら?
きっとあの子にだって自分のしたかった事沢山あったはずよ。菫が自分で選んだ道で傷つくのならば私は大いに結構よ。それはきっと良い経験になる。
でももしも私達が勝手に決めた道で菫が傷ついたら、それは取り返しのつかない事だと思います」

「しかしおまえ…菫は世間知らずなのだ…」

「えぇそう菫は世間知らず。けれど私は25年間その菫を見守ってきたのと同時に潤くんも見守ってきました。
そしてそれはあなたも同じでしょう?私は潤くんにならば菫を任せられる気がするんだけど、違う?」

おばちゃんがおじちゃんにここまで自分の意見をはっきり言う人だろは知らなかった。

それは静かで柔らかだったけれど、どこか強い。強い愛情に溢れている物だ。

それでもなおもおじちゃんは突っぱねたままだった。

「潤くんに菫は任せられない」

「まぁ…!」

「大体潤くんは何故S.A.Kを継がないのだ?たとえお父さんがそれで良いと言っても君はS.A.Kの一人息子なのだ。
会社を継ぐと言うのは筋ではないか?それを自分の好きなように生きたいなんてそれはただの我儘じゃないか…」


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