【完】Dimples 幼馴染のキミと僕

１０．菫■本当の自由■

１０．菫■本当の自由■




「キャーッ素敵！可愛すぎるー。
この人参やピーマンもお菓子で出来ているのッ？
ちょ～可愛い～」

「喜んでくれて嬉しいわ。これはね私の後輩が考えたアイディアなんだけど、野菜嫌いの子供にも好きになって貰えるように」

奈々さんと丁度時間が合ってランチを共にする事になった。

ノエールに連れて来たら奈々さんは子供のようにはしゃいで、携帯で運ばれてきたスイーツを何枚も写真に撮る。

小さくて女の子らしい人。とても感情表現が豊かで、ウサギやリスといった小動物に少し似てる。

メイクアップアーティストをしていて流行りにも敏感な彼女とは、潤としたＳ．Ａ．Ｋの洋服の撮影で出会った。その時に連絡先を交換して仲良くなった。

「それにしてもお店の造りも素敵。菫っちがプロデュースしたお店なんでしょう？」

「まぁ…とは言っても父の会社ですから」

「それでもすごいよッ。ちょ～可愛いお店だもん。
今度撮影に使わせてもらいたいくらいだな～。きっと飯田さんも喜ぶと思うよ」

「あら、それ素敵。今度機会があれば是非仕事もご一緒したいものだわ」

「でしょー？てゆーか菫っち、出来上がったカタログ見た？」

そう言って奈々さんが鞄からカタログを取り出す。

それは先日潤から貰ったばかりで、私の宝物になったばかりだった。Ｓ．Ａ．Ｋの新しいライン「Ｄｉｍｐｌｅｓ」のカタログ。

あの日した撮影の写真がこんな素晴らしい冊子になってまとめられるなんて。