【完】Dimples 幼馴染のキミと僕

「ふふ。自分がコンプレックスの塊だったから昔からお化粧やヘアメイクで人を綺麗にするのは好きなんだ。
だってお化粧ってすごいでしょ?自分のコンプレックスだと思っていた物もお化粧ですごく変わるのッ。
ハイライトをいれて顔に光りが灯って、シェーディングで顔が小さく見えたりもするのッ!
それにリップの僅かな色ひとつで印象も変わってしまうし、あたしはそんなコンプレックスを持っている女の子たちを綺麗にするのが楽しいのッ」

キラキラとした瞳で夢を語る奈々さんは、少しだけ潤に似ていた。

夢があるのは素敵な事だ。そしてその夢を叶えるために人は沢山の努力をしている。

「菫っちみたいに元が綺麗な人はあんまりコンプレックスないと思うけどさー…」

「そんな事ないわッ。私は綺麗でも何でもないもの。
でも奈々さんがメイクしてくれた時は嬉しかった。自分が自分じゃないような気がして……。自分の中に隠れたこんな自分がいたんだって発見させてくれたもの。
それに潤にもメイクや服を選んでもらう時はすごくドキドキして嬉しい気持ちになる。素敵よね。奈々さんや潤がしている仕事って魔法みたいだわ」

その言葉に奈々さんは穏やかに微笑む。

「あたしも潤くんはすごい人だと思う。
あの人は一応S.A.Kの跡取り息子であって私達とは世界が違うすごい人なんだろうけど、全然偉そうにしないんだもの。
おばあ様も佐久間文江さんって素晴らしい方なのに、それをひけらかす事もなくって自社のモデルまでこなしちゃってすごいよね。
あたし潤くんは自分のお店を持ちたいって夢があるのは知ってるけど、あの人はどんな世界にいっても成功する人だと思うよ」


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