【完】Dimples 幼馴染のキミと僕
馬鹿馬鹿しい。
先日潤が言っていた話を思い返していた。
私がロマンチストなアニメが好きで、永遠にリピートして観ていたって話。
自由のないお姫様が、自由に生きる青年に出会って、夢を叶えていくっていう。よくありがちな話。
子供の頃何故あんなに夢中になっていたのだろう。
実際は夢物語とは逆だ。夢は信じていても叶わない事の方が多いし、都合よく王子様は現れたりしない。
もしも現れたとしても、その王子様には既に心に決めた女性がいたってオチだ。
物語は決して現実になりやしないから、美しいのだ。現実は…汚い事ばかりなのだから。
「でも美麗はそういったロマンチックな事が大好きな女ですけどね。まぁそういった馬鹿の為に菫さんのビジネスが成功すると言ったところですか」
「あら、大好きな彼女の事を馬鹿呼ばわりするなんて酷い人ね」
「美麗はそんな馬鹿な所も可愛らしいんですよ。それに女性は少しロマンチストである方が良い」
全く、よくもぬけぬけと惚気話なんて出来るものね。
でも美麗さんがとても羨ましいわ。
私の作るお店のような場所が好きな女性。あの人も可愛らしいデザートプレートに目をキラキラと輝かせていた。
お伽話に出てくるお姫様のような人だわ…。
西城グループの社長令息に見初められて、深く愛され、望まなくとも大輝さんの隣にいる権利がある人なのだもの。