【完】Dimples 幼馴染のキミと僕

まだ結婚さえも認められていないのに気が早いか。けれど早く菫に完成したウェディングドレスを見せて、安心させてあげたかった。

そして大倉さんの件だったが、それは菫が「何とかなった」と言っていた。なぁーにが何とかなったのだ?と訊きたくもなったのだが、菫が自分であの強引な男に断りをいれれたかと言うとにわかに信じがたい。

午後からの撮影。着いた早々吉澤さんが「潤と彼女が別れた!」とまた嘘の情報を周りに吹きまくっていた。…いい加減温厚な俺もキレそうだ。

「よっしーてば馬鹿じゃんね?」

薄くメイクをしながら奈々さんが呆れながら言う。

「潤くんと菫っちが別れる訳ないじゃん。あれはもう悔しくて仕方がないときているね。
あんな綺麗な菫っちと付き合える潤くんに嫉妬してるんじゃん~」

まぁ噂を信じる人間ばかりではないって事だ。奈々さんの言葉を聞いてホッとした。

「それにあたし菫っちと連絡取ってるから聞いてるもん~。お父さんに許しを貰うために実家に帰ってるんだってね。
お父さんと上手く喋れないって菫っち悩んでたけど、大丈夫かな?」

「あぁ、あいつも奈々さんに相談に乗って貰えてるなら心強いと思うよ」

奈々さんの存在は菫にとって大きいものだった。まさかここまで仲良くなるとは思っていなかったが…。

人に相談しないタイプの人間だ。その前に余り友達がいない。学生時代の佐波さんくらいしか友達はいないんじゃないか。

そんな菫が信用して相談に乗ってもらいたい人間がこの世にいるのは安心した。

「そーいえば今日から渋谷のビジョンにふたりの撮影した写真がデカデカと写ってたよ~!
やっぱり大ビジョンは迫力あるよね」

「え?!今日からだったの?!吉澤さん何も言ってくれないんだもん!」


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