【完】Dimples 幼馴染のキミと僕
住宅街の中にある動物病院は特に大きくもなく、隣に民家が隣接して立っているような所で
そこには人の好さそうな獣医と、奥さんだという女性で切り盛りをしているらしい。
獣医は俺たちを歓迎してくれて、とある猫の話をし始めた。
ひとつのゲージの中、そこにはふわふわの長毛種で真っ白の中に不思議な模様がついている猫が一匹。
尻尾を両サイドにバシバシと振りかざす。その尻尾が揺れる度に花が開いたように見える。
ブルーの瞳で俺たちを睨みつけると、直ぐにツンと横を向いた。
「西城くんたちが飼っている雪ちゃんの兄弟猫なんだよ」と獣医は言った。
どうやら西城さんたちが飼っている雪という猫は、この動物病院の保護猫だったらしい。引き取った時は手のひらに乗るほどの小ささだったらしい。今や立派な大人の猫らしいが
ゲージの中で冷たい視線を送る毛の長い猫は、その雪と共に動物病院で保護された子だったらしいが、勿論成猫である。
「実は6匹いた猫の中で1番器量良しの子で引き取り手も直ぐに見つかった子なんだけど…」
獣医は少し困った顔をして、ゲージの中で大人しく座り込んでいる猫へと手を差し伸べる。
すると、シャーと鬼のような顔をして威嚇した。そして素早く猫パンチを獣医の手へ食らわせた。
「先生…嫌われてるじゃないですか…。
それにしても立派な猫ねぇ。雪と兄弟とは思えないわぁー。あの子は短毛の猫だから」
「おお、確かに立派な猫だな。それに随分美人さんだ。さすが雪の兄弟猫。
おい、猫ー」