【完】Dimples 幼馴染のキミと僕
「久しぶりだな~!」
演奏が終わると、出窓に腰をおろしたひとりの男が声を掛けてきた。
フルートをテーブルの上に置き、窓から顔を出すと、懐かしい笑顔がこちら向いてニコニコと笑っている。笑うと笑窪が出来るのが、昔から変わらないこいつの特徴である。
「帰っていたの?」
「おう、久しぶりに帰ってきたんだよーん。仕事も落ち着いたからさ。
そしたらいつの間にか俺の部屋が物置になってるんだ。酷いよな、かーちゃん…」
「そういうもんでしょ。それより元気だったの?」
「相変わらずめちゃくちゃ元気ッ!
菫の方こそ仕事忙しそうじゃん。つーかマジで久しぶりだな?菫の店で会って以来か?」
「そうね。美麗さんとはあれからどう?」
「こっ酷く振られちゃってさー。つーか初めから相手にされてないっていうか…」
「知ってる。大輝さんから聞いてるもの」
「菫は本当に性格が悪いなぁ~。知ってて聞くなよって。
まあ美麗ちゃんが西城さんと幸せならばそれで良しって感じだけどさー」
私達が産まれる少し前に建てられた隣合った白いお家。
そこには、私と同い年の男の子が住んでいた。だから私達は自動的に生まれながらの’幼馴染’っていう奴になる。
親同士もとても仲が良く、3歳下の大地と同様、彼にも3歳下の妹がいる。だから幼い頃は子供たちを交えて旅行にも行ったし、遊びにもよく行っていた。