【完】Dimples 幼馴染のキミと僕
佐久間 潤。私と同い年の25歳。
篠崎リゾートの娘である私も一般的に見ればお嬢様の部類に入るかもしれないのだが、彼の家柄はもっとすごいのだ。
潤のおばあ様は佐久間文江 世界的に有名なFUMIE SAKUMAのデザイナーである。現在も忙しく海外を飛び回るバイタリティーのある人だ。
そして潤のお父さんは若い男女から多大な支持を受けるアパレルブランドS.A.Kの社長だ。
私とは比べ物にならない超超超お金持ちの家の一人息子なのである。
サラサラの茶色い髪が太陽の光に当たって、蜂蜜みたいな色に染まる。
両耳にピアスを開けて、ファッション業界の家族を持つせいか奇抜な格好を好む。
顔は童顔。大きな二重の瞳と優し気な笑顔。笑うと頬に笑窪が出来るのが更に彼の童顔を際立たせる。
昔はよく女の子と間違えられていたが、いつの間にか背は抜かされて、男らしくなっていった。それと同時に私と潤の間には少しずつ溝が出来始めた。
「それにしても潤が家に帰って来るなんて珍しいね」
「かーちゃんの具合いがあんまりよくないみたいでね」
「お母さんから聞いた!おばちゃん大丈夫なの?」
「命に関わる病気とかではないから心配しなくて大丈夫だって。
一応検査入院とかするみたい」
「え、それ心配じゃん……」
「命に関わる病気じゃないっつってんのにかーちゃん不安がっててさ。
舞は海外留学してるから簡単には帰ってこれないから俺が代わりに都内と行ったり来たり生活になるかなー…?」
「じゃあ潤暫くいるの?」
「そうだね。あッ!菫嬉しそうじゃん!」
「ハァ?別に嬉しくなんかないし」