【完】Dimples 幼馴染のキミと僕
「素敵なお店ですね。僕みたいな男がひとりで来るには少し恥ずかしい所がありますが…
女性に大変人気なのが分かります。菫さんが造ったお店だそうで」
「ありがとうございます。確かに男性だけで訪れる人は余りいませんわ。
料理も拘ってますから美味しいですよ。大倉さんもイタリアンのレストランを経営しているそうですから、そんな方のお口に合うかどうかは分からないですけど」
大倉さんは1番に私の携わってきたボヌールを褒めてくれた。
クールな印象に見えがちの顔だけど、笑うと意外にもとても優しくなるような人だった。大輝さんはもっと下手糞に笑う人だった。笑っているのに心ここに在らずといった感じで。
…モテない訳ない。
28歳でイタリアンレストランのオーナーでこの容姿ならば、引く手あまただろう。わざわざお見合いなんてする必要もないのではないか。
注文していた料理を食べて、’うんこれは美味しい!’とイタリアンを経営しているオーナーらしく説明を加えながら褒めてくれた。
自分が携わっているお店を褒められて、嫌な気分になる人間はいない。
「菫は食材も拘っている人だから、この蟹は北海道から取り寄せているんだ。
野菜も農家へ直接出向いて最高の物を揃えているんだよ」
「そうなんですね。うん、本当に美味しいです。野菜もみずみずしいですね。僕のお店ももっと見習わないと」