【完】Dimples 幼馴染のキミと僕
「大倉さんも都内でイタリアンのレストランを経営しているんですよね?」
「えぇ、元々は料理をする側だったんですが、今は経営の方で携わっています」
「あら、じゃあプロということね。恥ずかしいですわ…プロの料理人の方に食べていただくのは」
「いえでもとても美味しいです。シェフにもお会いしたいくらいだ。
食材も一流ならシェフも一流ですよ。このパスタのソースもすごく美味しいですよ。シンプルな味付けだからこそ難しいんですよね」
大倉さんとは話が盛り上がり、意外にも楽しかった。
父に決められた相手は嫌だ…と心のどこかで思っていたが、この人とならば楽しい結婚生活も送れる…か?
半信半疑ではあったが、話してみても嫌な感じのする人ではなかった。
「篠崎社長の主催するパーティーで菫さんを見かけた時から素敵な人だなぁと思っていたんですよ」
「あらありがとうございます」
「そうそう大倉くんがそう言ってくれてね。
菫、大倉くんは本当に素敵な人なんだよ。料理のプロでもあるが、経営の面でも中々手腕があるときてる。
若いのに真面目で」
「篠崎社長…そんなに褒められると照れます。
けれど菫さんもさすがは篠崎社長の娘さんですね。社長令嬢でありながらここまでしっかりとなさっている娘さんも珍しい。
確か弟さんもいらっしゃるんですよね?」
「大地はまだ社会人になったばかりだからあまりしっかりしていなくてね。
その点菫は昔から良い子で、僕たちにも心配のひとつかけた事のない娘でね、自分の娘ながらよく出来た子なんだよ」
和やかな雰囲気で時間は過ぎ去っていったような気がする。
デザートが運ばれてくると思ったら、父は席を立った。後は若い者同士で、との事らしい。