【完】Dimples 幼馴染のキミと僕
「サーフィンですか?」

「やってみると案外楽しいよ!今度一緒にどう?」

「そうですね。それもいいかも」


絶対にごめんだ。

スポーツは得意な方だけど、サーフィンなんて波乗りは危険すぎるのだ。海を余り舐めないで頂きたい。

それに日焼けをしてしまうのも嫌だ。真っ白な肌は私の自慢だ。紫外線に当たりすぎると髪にもダメージが激しい。一度も染めた事のない黒髪だって私の自慢のひとつ。

…けれど、この人は私みたいな女が本当にタイプなのではないのだと思う。

波乗りを楽しめて、少し肌が黒くて…化粧も濃くて髪の毛も派手なような女性が本来ならばタイプなのだろう。少し奔放そうな。

この人も仕方がなく私とデートをしている。それはひしひしと感じる。だってどこか噛み合っていない。

篠崎リゾートの娘である私だから…仕方がなく一緒にいるに過ぎない。

 この人と結婚して上手くやっていけるのだろうか。いや大倉さんだってやっていけないと思ったからこそ、互いに自由な生活を送ろうなどと言い出したのだろう。



時間が過ぎるのが遅すぎる。何度も腕時計に目を落としたが、壊れているのではないかという位時間が進まなかった。

海をひとしきり歩いて、近くのカフェに入って、何ら他愛のない話。 そして夕食時になったので、やっと目的のお店に行く事が出来た。

…この任務さえ終えれば、帰れる。失礼な事だが既に帰る時の事ばかり考えていた。



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