【完】Dimples 幼馴染のキミと僕

海が一望できるレストランは、いかにも女性が好きそうな造りだった。

特別感を演出してくれる。海と共に陽が落ちた東京の夜景がキラキラと輝く。

ラグジュアリーな空間。天井が高く、窓も広くて、どこか解放感がある。どこかゴージャスだけど、スタッフの教育も行き届いていて素敵なお店、だとは思う…。好みかどうかは別として…。

職業病だろうか…。テーブルとイスはどこのを使っているのか、グラスや食器類はどこのブランドだろう。そんな事ばかり気になっていた。

天井のシャンデリアは一見華やかに見えるが、どこか安っぽい。取り合えず流行りやトレンドをぎゅっと取り入れただけのような感じもする。

「うん、美味しい」

「えぇ美味しいですね。」

「お店の雰囲気もとても良いね」

「そうですね。造りがとても素敵です。同じ飲食店を営む身としては参考になりますわ」

「あ、やっぱり菫さんもそういう所見ちゃう?俺も経営を始めてからはそういった事ばかり気にしちゃうんだ。
他店を見て勉強になる事も沢山あるからね」

料理はまずまず。そこまで気取りすぎず、どこか今時だ。

季節のキッシュとポタージュとエビのカクテルサラダは中々。明太子とじゃがいものアヒージョも珍しい。

黒毛和牛のステーキは余り好きではなかったけど、まぁ高級感のある味はした。

しかしこういったコース料理は元々得意ではないのだ。


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