【完】Dimples 幼馴染のキミと僕
ご飯と共に色々な物をつまみたいのに、1品1品出てくる。それが昔から余り好きではない。
父も母もよく外食に行くとコース料理を頼むが…昔から好きになれなかった。だってメインの料理にたどり着くころにはお腹いっぱいになってしまって楽しめない。
けれど女性はこういった特別感のある料理が好きなのだろうけど。
早く食べて、早く帰る事ばかり考えていた。
大倉さんの会話はちっとも頭に入ってこなかった。聞いてはいるのだが、右から左へ流れていくイメージだ。こんな調子で一生やっていけるのか不安で仕方がない。この人が人生の伴侶になるなんて想像さえもつかない。
コース料理がこんなに長く感じるのは初めてだった。
外はすっかり暗くなってしまっていて、大倉さんの車に乗り込んで’家に帰れる’ホッと胸を撫でおろした時だった…。
「今日は楽しかったね」
「そうですね。ありがとうございました。」
「これからどうする?」
これから…?家に帰ろうと思った所だが?まさかこの先があるなんて、それこそ精神的に持たなそうだ。
「ええっと……」
「もし良かったら俺の家に来ない?ここから近いんだ。菫さんってお酒飲める?美味しいワインがあるんだけど」
さらりとそう言って退けた。
「お酒は…嫌いではないですけど…」
「じゃあうちにおいでよ。良かったら泊っていってもいいし」