【完】Dimples 幼馴染のキミと僕
「怖かったわ…」
「怖かった?」
その言葉に彼の眉がぴくりと動いた。
「家に来ないかと言われた。良かったら泊って行っても良いって。なんて答えるのが正解なのか分からなくなる程怖かったわね」
潤は窓から身を乗り出し「家に?!」と大きな声を上げる。
あまり大声出さないでよ。お父さんに聴こえるでしょう?シーっと言ったけれど、興奮した様子の潤は止まらなかった。
「そんなんちょー軽い男じゃん!!」
「だから声がデカいんだってば!!」
潤が大袈裟にハァーっとため息を吐く。
「それに私…大倉さんとは合わない気がするわ…。
考え方も価値観も全く違うんだもの…。恋愛小説では全く合わないふたりが付き合いだして変わっていくって話があるけれど…
私達もいつかそうなれるの?」
そう問いかけると潤は更に深いため息を落としていく。 中々呆れられているようだ。
悪かったわね。私は潤のように恋愛経験は豊富ではないのよ。そういった話は小説やドラマの中でしか知らない。
でもよくあるじゃない。最初は大嫌いだったのに一緒に過ごしていくうちに互いに惹かれ合っていくって話。私と大倉さんがそうなれるかと問われれば疑問しか残らないけれど。
「やっぱりそんな結婚駄目だ。ありえないよ。」
「でも…お父さんが…」
「おじちゃんの事は聞き飽きたよ。菫はただの意気地なしだ。
おじちゃんに幻滅されるのが嫌で、良い子ちゃんを演じてるだけの。少し位反抗してみろよ。」
「私は潤とは違うもの。簡単に言わないでよ……。潤には簡単に出来る事が私には難しいのよ」